ロイロノートを採用したICT先進校が音読特化アプリも使う理由

兵庫県立宝塚西高等学校

普通科の中に国際教養コース(2025年度より国際教養類型)を設け、英語教育に力を入れている兵庫県立宝塚西高等学校。ICTの活用にも積極的で、2021年度からはRepeaTalkを導入しています。ロイロ認定ティーチャーでもある上本先生はRepeaTalkをどのように活用されているのでしょうか? お話を伺いました。

導入前の課題
  • 生徒が家で音読しない
導入の効果
  • 授業外でも音読回数を確保

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県内屈指のICT先進校

― 宝塚西高校では、ICTを積極的に活用されているそうですね。タブレット端末も全学年で授業に導入されていると伺いました。

(上本先生)使用頻度の多寡はありますが、本校では、すべての教科でiPadを活用しています。先日も、兵庫県の教育次長が本校のICT環境を視察に来ました。県内の高校の中でも本校の端末同時接続台数は断トツで多く、生徒全員が一日中端末を使っているような学校はほぼないのだそうです。

導入当初は乗り気でない声もありましたが、とにかく便利です。生徒への連絡事項があれば、写真を撮って送信するだけで全員に配信されますし、提出物の回収も、生徒に提出物の写真を撮って送らせればノートを回収する手間も省けます。

現在はApple TVも全教室に導入しています。ワイヤレスでプロジェクターに接続できるので、生徒がiPadでプレゼンテーションをするのも楽になりました。

「ワクワクドキドキ」な学習を

― 貴校の英語教育の目標や特徴を教えてください。

(上本先生)全職員でオールイングリッシュが徹底されているわけではありませんが、コミュニケーション英語ではなるべく英問英答で、観点別評価が推進される前からパフォーマンステストなどを学校全体で取り入れています。そのため、発信力や人前で話す能力は、同じ偏差値帯の高校の中でもかなり高いと思います。

英語で話すのが当たり前になっているので、パフォーマンステストでも、まったく話せない生徒はいません。授業の最後には、生徒同士ペアを組んで教科書の内容を英語で説明し合うリテリングを行いますが、そこでも黙って固まっている生徒はいませんね。分からないなりにも頑張ってコミュニケーションを取ろうとしています。

― 先生自身が目指す、英語の教育方針や方向性はどのようなものでしょうか?

(上本先生)英語学習そのものを楽しんで、将来的に、英語をツールとして使って自己実現してほしいという基本コンセプトがあります。受験のための勉強に留まらず、卒業後もスキルを高めていって、海外など英語を使う場面で、それを生かして活躍してほしいです。

だから授業でも、いかに「勉強したい」という気持ちにさせるかという点に主眼を置いていますね。「英語を勉強したらアメリカやイギリスの人とだけじゃなく、第二言語として英語を学んでいる世界中の人と喋れるんやで、これがどんだけ楽しいことかわかるか?」という話を生徒にしています。

私の英語の授業では予習禁止です。ストーリーそのものを楽しんだり、授業の中でいろいろな発見をしたり、ワクワクドキドキしながら授業を受けてほしいので。予習をしていなくても、単語の導入やパラフレーズなど、進め方次第で授業を理解させることは可能だと思っています。

オールイングリッシュで授業を行うのも、英語でやったほうが面白いからです。金魚すくいが、破れそうな薄い紙ですくうからこそ面白いのと同じで、不慣れなものを使いこなして初めて情報が理解できた、という楽しさや満足感があるんですよ。そういう体験を通して「英語って面白いな」と思ってほしいというのが、僕のモットーです。

ロイロノートとの棲み分け

― 貴校では2021年の秋口からRepeaTalkを導入いただいていますが、きっかけは何だったのでしょうか?

(上本先生)使っていた教科書の出版社から音読アプリが出たと聞いて使い始めたのですが、我々には合わなかったようで、2ヶ月ほどでやめてしまいました。それで出版社の担当者が新しく紹介してくれたのがRepeaTalkでした。

生徒にもインターフェースが分かりやすいですし、音声認識の精度も良かったです。提出された課題を一元管理し、チェックして返却できる機能も便利ですね。

― ロイロノートでも録音の提出機能はサポートされていますが、あえて音読アプリを利用されている理由について教えて下さい

ロイロノートにはRepeaTalkのような自動添削機能はないので、現在のRepeaTalkのような使い方はそもそも想定していませんでした。ロイロノートはパフォーマンステストで活用しているので、RepeaTalkとは棲み分けして利用しています。

普段の課題として継続的に音読学習を実施するためには、教員の負担も抑えられるものでなければいけません。その点でいうと、RepeaTalkにはAIによる一致率評価があり、課題に対する評価の一部をアウトソーシングできるのが良かった点です。

RepeaTalkの導入により家庭での音読学習に強制力を持たせ、音読の定着促進など、今までできなかったことが実現できるようになりました。もしRepeaTalkを導入していなかったら、生徒の家庭での音読学習量は現在と比べると半減していたかもしれません。

― 「予習はしない」ということでしたが、RepeaTalkは家庭学習、復習で使用されているのですか?

(上本先生)そうですね。授業外でも音読回数をある程度確保することが一番の目的です。また、モチベーションの高い生徒はハイスコアを狙おうとするので、彼らのスキルが向上してくれたらいいな、と。

1年生の間は提出したかと合格したかを評価に加えています。 昨年担当した3年生では提出点を半分、それから提出したパートの平均一致率を半分、評価に組み込んでいました。

― RepeaTalkのステップ構成は1年目に組まれたものから大きく変わっていないようですが、ステップ構成についてこだわりはありますか?

(上本先生)難易度順ですね。最初はリスニング、次にリピーティングで、オーバーラッピング、シャドーイング、最後に音読。今使っているこのステップがちょうど良いと思っています。

パフォーマンスに変化

― RepeaTalkしかり、英語学習しかり、生徒のモチベーションをキープする秘訣はありますか?

(上本先生)ある程度は外的動機付けに頼るしかないですよね。RepeaTalkでは、「学期末までにやらなかったら全員残して、すべて提出してもらう」と言ってあります。強制ミッションです(笑)。その中で、RepeaTalkチャレンジ(※)をやってもらって、一部の生徒だけでも楽しく前向きに頑張ってくれたらいいかな、という感じです。


※RepeaTalkチャレンジ…特定期間の学習状況を競い、生徒のモチベーションアップや学習定着を後押しするイベント

音読は筋トレのようなもので、楽しくはありません。もう無理矢理やるしかない。もちろん、トレーニングで自分の発音をもっと綺麗にしたいという生徒も一部はいます。でも全員がそうではないから、取り組ませるためにはある程度の強制力も必要ですよね。

― その他RepeaTalkを使ってみて良かったこと、使い続けている理由などはありますか?

(上本先生)3年生まで使い続けた結果、パフォーマンステストの出来が1年次と比べてかなり上達しました。もちろん、授業内でも積極的に話す機会を設けていましたが、RepeaTalkが果たした役割は大きいと思います。ネイティブ音声を聞いて、真似をして、自分の音声を入れていく。RepeaTalkのおかげで、音声面についてはかなり強化されたと思いますね。

RepeaTalkがなかったら、生徒が家で音読することはないでしょう。サボる生徒が圧倒的に多いので、強制力を持たせて授業外でも英語を読ませるという活動には、大きな意味があると思っています。

良い教育を子供に還元したい

― 今後、先生が英語の授業で取り組みたいことや展望があれば教えてください。

(上本先生)RepeaTalkをはじめとしたICTを活用することによって、英語教育でやりたいことはある程度実現できているので、今後は教員の業務効率化に取り組みたいと思っています。特に最近はAIの活用に力を入れています。私の業務だけでなく生徒にもAIを使わせていて、なるべく自分で調べ物ができるよう、すべての生徒のiPadにChatGPTが入っています。AIの正しい使い方と間違った使い方について最初に十分に指導をしているので、今のところデメリットよりもメリットが大きく上回る使い方ができていると感じています。

ChatGPTのおかげで、1日2時間ぐらい勤務時間が短縮されていると思います。他にも、ロイロノートを使って先生方の業務負担を軽減するなど、いかに教育効果を維持しつつ、労力を最小化していくかということを考えています。業務をスリム化して、その時間でプライベートを充実させたり、あるいはもっと生徒に向き合う時間を確保したりしていきたいですね。

教職がホワイト化したら、若い世代でも教員を志す人が増えると思うんです。教員採用試験の倍率が上がり、優秀な人材が集まり、より良い教育が子供にも還元されて、みんなハッピー、という状態まで考えを広げているところです。

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